2019年 10月 16日
父の面影
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この1週間熱にうなされながら、思い出すことは、子供の頃のことばかりだった。

難しくて、こだわりが強くて、発する言葉は辛辣で、嘘がつけない人。そう書いて、まるで自分のことだと笑った。怖くて仕方なかった。話すときはいつも緊張した。けれど、時折見せる優しさに戸惑いつつも、本当はいい人なんだろうと子供ながらに思っていた。

目の前にいる、話すことも、自力で動くことが全く出来なくなった姿は頼りなく、まるで私の知らない人のようだった。けれど怒りが充満した姿はやはり彼そのものだった。その姿はあまりに衝撃的で、脳内で混乱をきたした。自分の中で色々と整理するのに、しばらく時間がかかった。

彼の苦しみは動けないこと、話せないこと以上に、自分を赦し受け入れること、周りでサポートしてくれる人たちに感謝できないことにあるのだろうと感じた。感謝できないということはとても苦しいことだと思う。全ての責任を外側へ求めることに幸せはない。かといって自分を責める必要はない。反省はあっても。今の自分を受け入れる。自分がなぜこうなったか、これからどう生きるのか向き合うこと以外に回復の道を開くことはできない。それは辛く苦しいことであるけれども、本人以外にはできない。本人がそれをしなければ、周りがどれだけ助けようとしても全く意味のない事になる。

ベランダで秋風を感じた。一緒にいた夫と「気持ちいいね。幸せだね」と言い合う。そういう穏やかな時間を彼が持つことができる日が来るかわからないけれど、私たち家族は静かに見守るしかないのだと思った。

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追伸/ 台風被害の全容が明らかになればなるほど、被害の大きさに驚きを隠せません。
首都圏の治水技術の高さに感動すら覚えたけれど、それに引き換え地方の被害の酷さにまるで311が再現されているかのようで大変衝撃を受けています。
これをご覧になっている方々のお住まいが浸水することなく、ご無事でいらっしゃることを祈っています。そうは言ってもテレビで目にする光景には、自分が無事だったからよかったとは思えない光景ばかりで、複雑な心境です。今日も雨風をしのげる家があり、電気が通り、蛇口をひねれば水が出るということに心から感謝して、一刻も早い復興を祈ります。


by sudi.s | 2019-10-16 19:06 | SIGMA DP3Q


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