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2014年 08月 17日
Mon Paris
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もうパリの写真にうんざりしている人もいるかもしれない。キリがないので、このへんでやめようかなとも思う。大切な作品たちはしかるべき場所でしかるべきときに発表するのがいい。もっともパリは数日の滞在だったから、全く何も撮っていないも同然。だからわたしはこの続きを撮りにいつか戻らなければならないと思っている。わたしが切り取るわたしのパリを。これは希望ではなくて、確信に近い。そのためにフランス語だって勉強しはじめたのだ。全く以てマスターできそうにないけれども。

フランス人に恋に落ちることは残念ながらなかったけれども、フランスには恋に落ちた。予期していないことだった。10代最後に一人旅で行ったロンドンのときのような、あの感覚がこの歳で再現されるとは夢にも思わなかった。トラブルもあったし、言葉もわからなかったけれど、ワクワクしどうしだった。ワクワクはもっとも大事なことだと思う。ワクワクするということは、その場所は間違っていないーとわたしは考える。もっとも短い滞在だったからだろうとも言われるけれど、そういうことではない。空港に降りた時の匂いですでに何かは感じ取る。

帰国してから写真が撮れなくなった。フランスの風景がフォトジェニックすぎて東京がつまらなく思えるのかと思った。はじめはそう思った。でもそうじゃないと気づいた。もっと建設的な変化。たぶん写真への向かい方というか、作品の作り方というか。今までのやり方じゃないと気づいてしまったのだと思う。でもまだどう変化するのかわからない。というのが正直なところ。写真と私自身が表裏一体であることはこれからも変わらないというのはとてもクリアなことだけれども。

ランニングと同じだと思った。今まで好きで楽しくて毎日のように10キロくらいを走っていた。だんだん欲が出てレースに出ようかなと考えた。そのためにフォームを改善しようとした。考えるとどうやって走ったらいいかわからなくなった。走ることも楽しくなくなくなった。正しいフォームに慣れなくて故障して走れなくなった。これは決して悪いことではないと思っている。細く長く気持ちよく走り続けるために必要な通過点。

写真も同じ気がする。だから思うように撮れないことをあまり深く考えないようにしている。それより今やらなくてはならないことが山積みで、それをひとつひとつこなしながら、また撮り始めればいいのだと思う。

何か大きな変化があるときは、表面に現れるものはネガティブに見えたりする。でもそれは本当に表層しか見ていないからにすぎない。表層に惑わされて、大切なものを見失ってはいけない。

by sudi.s | 2014-08-17 22:36 | PARIS


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