2014年 07月 19日
ARLES
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書けることを書いてみようと思う。

私にとって初めてのフランス。初めてのレビュー。すべてが初めてずくしだった。そもそもアルルってどこなんだ?というレベルから始まった私のアルル。ポートフォリオレビューを受けると決めたものの、場所もわかっていなかった。地図を見て愕然。なんて辺鄙なところ。なぜパリでやらないのだろう。そう最初は思ったほど。長い旅路だった。

東京からパリまで12時間。そこから日本でいう新幹線のようなTGV(新幹線のように乗り心地はよくない)に揺られ4時間。私の目指した場所はフランスの南端の街アルル。アルルの印象はフランスというより、イタリアやスペイン。闘牛場もあって、歩いている女性も少しエキゾチックでビゼーのアルルの女という感じ。

2日ほど滞在したパリと違って英語が全く通じない。というのが最初の難関だった。ホテルですら片言で、レストランやカフェにいたっては全く通じない。それには本当に驚いた。フランス語がわからないと言っている英語が通じない。がしかし彼らは容赦なくすごい勢いでフランス語を浴びせてくる。それにもびっくりした。日本人なら通じないと思った時点で戸惑うであろうに、彼らは関係ない。すごい強い。それで初日は食事もできなかった。仕方ないからスーパーにいってパンとすももを買う。南仏に独り。孤独すぎるスタート。

レビュー予定は4日間。5日目に完全オフをつくって観光するつもりでいった。がしかし結果的には5日間レビューづくしで、観光は全くできなかった。でもいい予想外。初日のレビューは緊張しすぎてガチガチだった。20分という限られた時間の中で、伝えたいことも伝えられなかった。空気に飲まれたのだと思う。欧米人の積極性に、あの顔の凹凸に。でも落ち着こうと思った。全く自信がなければ私はここには来ていない。日本にいるときと同じように、自分のままで堂々としていればいいのだと言い聞かせた。

レビューで2日が過ぎた時点で、自分のstatementが機能していないと感じた。「写真は素晴らしい。けれどstatementを読んでも何が言いたいのかわからない」という意見が多かった。5人にそう言われたということは、後半5人にも伝わらないだろうと判断。すべて書きかえることにした。会場で知り合ったパリから来た写真家が手伝ったくれるという。彼女とは同い年で環境も似ていて気が合った。二人でカフェで会議。statementを書こうとしないでいつもみたいに思うことを話してごらん。そこにヒントがあるから。そこでつらつらと語る。私にはいつもどこにいても誰といても違和感があるということ。日本人で日本にいても異邦人のような、存在しているようないないような、そんなソリタリティのようなものがあると。そしてその感覚が私を写真を撮る行為にかき立てている。なんて話をしていて彼女がキーワードをピックアップしてくれて私の「よりふさわしい」statementが完成した。後半は自信をもってプレゼンできたし、何も怖くなかった。

ギャラリスト、編集者などと逢ったが、皆それぞれ違うことを言った。真逆の意見もあった。かたやコレが素晴らしいといい、かたやコレ以外が素晴らしいという。too personalと言う人がいれば、とてもparsonalであることが素晴らしく、それができる人は少ないという意見。とても強い感情を感じ鳥肌がたつとも言われた。その強すぎる感情に共感しずらいという意見ももちろんあった。とても感情がつよく、これほどまでにストレートな表現は日本人にはとても珍しいが、その中にも日本人の繊細さを感じるという意見もあった。ロンドンのエージェントが一番反応がよく、まさにこういうものを探していたと言われた。そことは今後一緒に仕事をするかもしれないし、どうなるかわからない。連絡は来たけれど、慎重にすべきと思う。面白かったのは、全員が全員秀逸といった作品が同じだったこと。それは面白いなあと思った。そして全てを素晴らしいとは言わないが、こういうレベルのものがもっとあれば、もう誰もステイトメントだコンセプトだなんて言わなくなるよ、というアドバイスが一番心に響いた。また共通の指摘としては、作品そのものはよいのだが、セレクトと編集の仕方に問題があり勉強したほうがいいというもの。各々が喋り過ぎで、お互いに喧嘩しているよと。そして優れたエディターを出逢えることが写真家として成功できるかどうか決まるとも。いい助言だった。

今回レビューより、ずっと意味があったことは、世界中から来たアーティストやフォトグラファーとの出逢い。私のステイトメントを手伝ってくれた人、落ち込んでいたら励ましてくれた人、ギャラリストにすっぽかされた私に自分の知っているギャラリストを紹介してくれた人など。皆ライバルではなく同士。敵も味方もない。カフェにいても、バーにいても、自然とテーブルは人で埋まり、皆知り合いになる。ポートフォリオを見せ合ったり、そこにギャラリストがいればレビューが突然はじまったり。日本では考えられないことだなと思った。この街は写真で溢れている。街中が写真家だらけというのは異様にも思えたけれど、国境を超えて、言葉を超えて、小さな価値観の相違すら超えて、その瞬間は皆同じ仲間だった。

時々自分が写真が本当に好きなのかとか、やめたほうがいいのではないかということを考える。時々ではなく、むしろ頻繁に。けれどやっぱり思う。私は写真を続ける限り、自分の知らない場所へ、知らない人たちへ導かれると。いつも孤独だと感じる。誰とも繋がりなどないと。けれど、写真とは、また写真を通じては、見えない何かと繋がっているような気がする。という話を友達になったソニアに話したら「それはユニバースとよ」と返された。そうだとするなら、私は撮り続ける意味を感じる。これはスタートに過ぎない。

以下スマホで撮影したもの。レビュー会場と町並み。そして私を特にインスパイアし、また助けてもくれた愛すべきアーティストたち。彼らと出逢えなかったら、私のアルルは全く別のものになっていたと思う。
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おまけに。私の超いけてないアルル動画をご覧になりたい方はFacebookからどうぞ。

by sudi.s | 2014-07-19 21:22 | ARLES


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